浜松医科大学 内科学第三講座 免疫・リウマチ内科浜松医科大学 内科学第三講座 免疫・リウマチ内科

ENTRY
—ABOUT US当科について
・科長からの挨拶
・スタッフ紹介
・業績
—TO MEDICAL STUDENTS医学生の方へ
・医学生の方へ
—TO RESIDENTS研修医の方へ
・研修医の方へ
・女性医師の方へ
・インタビュー 大橋弘幸 先生
・インタビュー 金本素子 先生
・インタビュー 木本理 先生
・インタビュー 山崎賢士 先生
・インタビュー 古川省吾 先生
—RELATED FACILITIES関連施設
—TO PATIENTS患者さん向け
—PRIVACY POLICY個人情報の取り扱い方針

Interview-03

開業3年目の仲間の紹介

きもとクリニック
院長
木本理先生

 『勤務医時代はとにかく診察に時間を掛けていましたね。よく同僚から「まだ外来やってるの?」と聞かれることも多かったです。』
 笑いながら、そうお話して下さるのは、浜松市中区で内科・リウマチ科を標榜する「きもとクリニック」の院長、木本理先生です。旭川医科大学を卒業後、浜松医科大学の第三内科に入局され、平成23年10月に同院を開業されました。先生に学生時代から現在に至るまでのお話を伺いました。(2015年取材)

学生時代

 シンプルですが「やりがいのある」「人に喜んでもらえる」仕事に全身全霊を傾けたかったんです。それで医師を目指しました。大学1年の頃の成績は非常に悪くて、学部の中で下から数えて・・・という感じでした。受験が終わって完全に気が緩んだのですね。順位は言えません。(笑)
 その後は猛省して勉強に励みました。2年生以降は成績も持ち直し最後は上位20%には入っていましたけれど、挽回するのに必死でした。今となってはほろ苦い思い出です。部活は空手をやっていました。

免疫・リウマチ内科を選ぶ

 大学で免疫リウマチ科を勉強しだすと、とても不思議な現象ばかりな事に興味をもちました。 目の前に原因不明の病気があり、しかも(症状がでる)臓器が一箇所ではない・・・。症状が神経に出たり、目や筋肉、皮膚、関節の変形として出る事もあります。治療にあたるには、すべての内臓を理解し、その上で原因不明の病気と戦わなければならない。そんなところに惹かれたのが始まりでした。ちょうど医学部の5年の頃には免疫・リウマチ分野に進もうと考えていました。

基幹病院での勤務

 医師になってすぐ浜松医科大学の第三内科に入局し、初期研修を経て藤枝市立総合病院、豊橋市民病院、聖隷浜松病院、御前崎市立総合病院で勤務させていただきました。免疫・リウマチ科の治療は難病ゆえに、やはり施設間に診療レベルの差があります。その点で各地の基幹病院で働けた事は貴重な経験でした。
 免疫リウマチ科の患者さんは概ね私よりも年上の方が多く、まさに人生の先輩です。慢性疾患が中心の免疫・リウマチ科では治療期間も長いため、患者さんとの信頼関係は何よりも大事です。上級医の先生方にもまれながら、まずは敬う姿勢で診察する事をスタイルにしていました。そして、時には自分の担当ではない患者さんを診なければならない事もありました。熟知していない患者さんを診ることにはやはり恐れもあります。そんな時の対処法もやはり勤務医時代に培いました。

新薬と共に・・・

  ちょうど私が医師国家試験に合格した頃から、生物製剤が発売されました。それまでのリウマチ内科の治療はステロイド等に頼ったものでしたが、この新薬の出現で治療も飛躍的に進歩したのです。
 例えば、リウマチの治療で主流だったステロイドは症状を抑える役割で、ある程度の痛みも伴い、患者さんの負担が大きかったと言えます。 その次に発売された抗リウマチ薬は、薬の効果が比較的遅い事が難点でした。そしてこの2つでは関節の変形を止める事が出来なかったのです。  大きな変化があったのはMTXという薬の誕生です。抗リウマチ薬の1つなのですが病気の進行をとめる効果が期待できるのです。この内服薬は現在リウマチの標準治療になっています。
 そして、私が医師になった年に生物製剤が誕生しました。最も優れているのは、変形した骨を修復する効果がある点です。今では、これらの新薬のおかげで、働きながら治療を進めることができるようになる等、患者さんの負担を大きく軽減できる様になっており、医師としてのモチベーションを上げてくれています。 但し、これらの薬は効き目が期待できる分、投与後の管理に大きな注意が必要です。
 現在、当クリニックでも7種類の生物製剤を使用していますが、大学や基幹病院での経験と知識大きな支えとなっています。

開業準備についてお話を聞きました。

  先ほど述べた病院で勤務した後、平成19年に大学院に進み、3年目には開業について考えていたと思います。その後、大学院を卒業(博士号取得)し、大学病院での勤務を経て開業しました。  是非、お話したいのは、所属していた第三内科の林秀晴教授、科長の小川法良先生の他、スタッフの皆さんへの多大なる感謝です。国内の多くの施設で言える事ですが、どこでも医師が余っているわけではありません。半ば強引な引止め等も日常的に聞く話です。 この点では、上級医の先生方に開業をご相談した際は、本当に親身になって相談に乗ってくださり、そして気持ちよく送り出してくださったと感謝しています。  その後もご支援をいただき、開業後すぐに患者さんをご紹介いただき現在に至っています。  - 全国の病院では診療科に医師1名の病院も少なくありません。そのため、退職には数年を要す事が一般的になってきています。木本先生のお話は短期間で開業できた例ですが、これも多くの医師が所属する大学医局ならではの安定したキャリア支援だと思われます。(医師コンサルタント)

クリニックでの診療や活動を簡単に教えてください。

 当院は、内科・リウマチ科を標榜しています。勤務医時代と異なり、様々な症状の患者さんは来院されます。発熱や下痢など一般的な症状の患者さんも数多く診察します。
 原因を探すことから始まる難病治療、そして副作用や感染症への対処など、全身を診るといっても過言ではない免疫リウマチ科の医師として培った経験をもとに「患者さんとの距離が近く満足度の高い」診療を心がけています。
 院外での活動は浜松駅の程近いJA遠州病院の外来、浜松市保健所より依頼を受けて、市民向けの講演会や難病相談会に出席しています。患者さんのご家族にもお話を聞いてもらえる事は大切な事だと考えています。そして常に最新の治療に触れるために大学のカンファランスにも参加しています。

病院勤務時代と開業後の勤務体制

 病院勤務の頃と一番違う点は、正直なところ当直がない事です。やはり家族と過ごす時間は増えたのでそこは嬉しく思います。その分、平日は無理が利かなくなりました。例えば自分が体調を壊しても勤務医の頃なら代診の先生が助けてくれましたし、子供の運動会やどうしても休みたい日も同じく仲間と助け合えます。今はさすがに診療所を閉めてまで休むのは難しいですから、自己管理には気を使います。もう少し楽になるかと思いきや、そう楽ではないですよ。(笑)

医学生や研修医の先生方へ

 今の初期研修はスーパーローテートですね。ゆくゆくは専門科を決めていかれると思いますが、おろそかにして良い科はひとつもありません。開業医になって、より実感します。是非、充実した初期研修期間を過ごしてください!
 また、免疫・リウマチ内科もまだまだ医師が足りません。開業医の視点からみると我々は全身を診る事を必要とされる科ですので開業にも向いています。将来のキャリアの広がりも含めて、是非興味を持ってくれると嬉しいです。